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スーパーナニーその後

イギリスで始まった「スーパーナニー」は、まずイギリスで大ヒットし、アメリカでも同じコンセプトで番組を作り大当たり。
次はオーストラリアでも・・・という企画が練られているようです。
スーパーナニーのジョー・フロストは、躾に関する本も執筆し、そのプロモーションでオーストラリアも訪れましたが、どこのテレビ番組でも大きく取り上げていました。
なぜ彼女のしつけテクニックがそれほどまでにもてはやされたのでしょう?
それは、彼女が実は非常に常識的なことを言っているからなのだと思います。
難しい幼児の心理学だとか、何とかメソッドなどのうんちくをたれるのではなく、悪いことは悪いと説明する、決まった時間に寝かせ、決まった時間に起こす、食事の時はきちんとテーブルに座って食事をする、遊ぶ時間には思いっきりあそばせ、大人の時間には静かにさせる、などなど、よ~く考えてみれば、とても当たり前のことを教えてくれるのです。
そして、どんなに自分が疲れていても、下の子に手がかかっても、子供一人、一人に対して、親と子供(一人)だけの時間をどこかで必ず持つことの大切さをジョーは説いています。

3人兄弟の中で、4歳の末っ子がどうしようもない腕白坊主という家庭がありました。
両親はどうしても一番下の子にかかりっきり。
食事の時でも、末っ子は嫌いなものがあれば、それを床に投げつけたり、注意されれば椅子から飛び降りて泣き叫んだり、大暴れ。
両親は末っ子を叱ったり、なだめたり、夕食時の家族の会話などないに等しく、怒鳴り声と泣き声が家を振動させます。
小学生の上の子供達二人は、「また始まったか・・・」とうんざりした顔をしたまま食事を済ませ、さっさとそれぞれの部屋へ。
それを側でじっと見ていたジョーは、お兄ちゃんとお姉ちゃんの部屋のドアをそっと叩きます。
「弟のこと、どう思う?」
真ん中の男の子は、ジョーに優しく肩を抱かれて、思わず涙を流します。
「ぼく、もっとパパやママにぼくのこと、見てもらいたい。もっとぼくと遊んで欲しい。でも弟があんなだから、それが言えない・・・」
お姉ちゃんはもっとシニカルです。
「私は諦めているの。これがうちの家庭だって・・・」

ジョーはその夜、両親と会議を開きます。
「下の子供のしつけも大切だけれど、お兄ちゃん、お姉ちゃんもパパやママがまだまだ必要な年頃ですよ。もっと上の子供達にも目を向けてあげないと・・・」
「でも、末っ子があんな状態で振り回されていて、どうやって上の子供達と遊ぶ時間を作れるの?」

そこでジョーは家族の一日の予定表を作り、それを壁に貼ります。
そこには、朝起きてから夜寝るまでの詳しいスケジュールが書き込まれ、その中には、きちんと両親がお兄ちゃんとお姉ちゃんの宿題を手伝ってあげるとか、犬の散歩に出かけるなどが組み込まれていました。
もちろん、その間、末っ子がおとなしくしているわけではありませんが、それは両親が交代で面倒を見るか、又はお兄ちゃん、お姉ちゃんが交代で見るということで、なんとか片付きそうでした。

ここで大切なのは、仕事で忙しいお父さんもジョーは一生懸命子育てに引き入れようとしていることです。
中にはレストランなどの自営業を経営している家族もいて、お父さんは朝から晩まで働きづめ、帰ってきたら、うるさく騒ぐ子供を無視して、まっすぐにベッドルームへという毎日を過ごしていました。
ジョーは、そのお父さんに、少々出費がかさんでも、レストランにもう一人アルバイトを雇い入れて、なんとかお父さんが週にたとえ2日でも早く帰ってきて、子供達と過ごせる時間を作れないか交渉します。
お父さんはしぶしぶジョーの申し入れを受け入れますが、その後、仕事人間だったお父さんは、家族と過ごす時間の大切さ、そして家族と楽しい時間を過ごすことによって、仕事にもはりが出てくるということを発見します。

「スーパーナニー」では、毎週さまざまな家庭が登場します。
大家族、双子のいる家族、一人っ子の家族、シングルマザーの家庭などなど。
子供によって、ジョーが使うテクニックは少々変化しますが、基本的はいつも変わりません。
それは、子供に優しい言葉で常識を説く、自分は常に冷静で決して怒らない、そして子供に時間と愛情をたっぷり注ぐということです。

ジョー・フロストは何冊か本を出していますが、日本語でも翻訳されているといいですね。
by tomoko-higgins | 2006-03-12 08:06
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